le charrose開発秘話-Chapitre2- 《追加コンテンツ》


2. 『映画の中の世界に入り込んだようなお店』を目指して


映画は物語、映像、美術、役者、演技、音楽から成る総合芸術です。

優れた映画作品はそれを観た人をインスパイアし、その人の人生に影響を与え得ます。

現実は映画の世界とは異なります。

映画の世界には脚本があり、一種のご都合主義が存在するため、映画の中のストーリーを進行させるために、『いや、現実世界ではそんな展開にはならないだろ』とツッコミを入れたくなる展開が映画の世界では散見されます。

よく出来た作品では鑑賞中にはそのことに気付きにくいですが、現実世界で憧れの映画のような展開を再現しようとすると、なかなか再現出来ず、『あれは作られた世界だったのだ』とようやく気付く、というのは映画好きの人間であれば経験のある方も多いのではないかと思います。

《映画の良い所は、人生の酸いも甘いも噛み分けた大人の鑑賞に耐え得る作品が多い点である。》

しかし、人間は『物語』を、『体験』を、ただの体験ではなく『心動かされる体験』を求めます。たとえそれが作られた世界だと分かっていたとしても、です。

映画の中の登場人物に感情移入し、まるで我が事のように『体験』する。

そのような特別な体験をいつの時代も人々は求めています。

そしてその体験は今まで体験したことのない新鮮なものであった方がより良い。

なぜなら、エンターテイメントの本質は創造性、唯一性の追求だからです。

《épisode1〜5を制作する際にインスピレーションを得た作品群の中の1つ。まだ映画では起用されたことがないようだが、唯一無二の世界観を持つ作品であり、映画産業がこのような作品を放っておく訳がないので、そう遠くない内にどこかの映画監督が起用するだろう。原曲の美しさもさることながら、アレンジセンスと演奏技術が素晴らしい。》

コンカフェの世界観は元々ある種の物語性を持っているものですが、それをもう一段階、二段階⋯いえ、本格的に『世界』を創ろうとするとまだまだ掘り下げ足りないので、三段階、四段階ぐらい掘り下げ、まだ誰も見たことがないような唯一性の高い体験を、創造的な物語を提供出来ないか。

現在公式ホームページでepisode1〜5を公開中のSIDE STORYは、様々な面で雲を掴むような試行錯誤の末に、なんとか形にしたものです。

映画的手法、文学的手法、クラシックミュージックが持つ荘厳さ、壮大さを組み合わせた結果、今までこの世界に存在しなかった面白いものを創作出来たのではないか、と考えています。

《文学に親しむという高尚な趣味も自分で文学作品的なものを執筆した経験もなかったため、制作当初は非常に苦労し、難産であった。群像劇は難易度が高い⋯。》

安定と挑戦のバランスは常に考慮しなければなりません。

あまりにも前衛的な要素ばかりになってしまうと、そもそも商業として成り立つのか、という問題が浮上してくるためです。

ただ、le charroseはこれまで常に、挑戦と安定-先行者がいない領域、先行研究が存在しない領域への挑戦とどこか心が落ち着く幻想的な空間の提供-という相反する要素を共存させ、そのバランスを取ることに心を砕いてきましたし、今後もそれに取り組み続けます。

また、そこに挑戦すべき価値があると考えています。

《le charroseの世界の断片に関して能動的なアクションを起こして頂くこと(例えばこの曲の歌詞を調べて頂く等)はle charroseの世界の正しい楽しみ方である。ところで、moon riverの歌詞の解釈には諸説あることはご存知だろうか⋯。》

今後も変わらぬご愛顧とご支援を賜りたくお願い申し上げます。